公開日

2022/11/28

最終更新日

HR Tech企業のThinkings、“採用を、変えよう。プロジェクト”を始動──狙いを代表取締役社長・吉田崇氏に聞く

採用管理システム「sonar ATS」とHRサービスのマーケットプレイス「sonar store」を提供するThinkings株式会社(以下、同社)は、HRサービス企業18社と共同で、“採用を、変えよう。プロジェクト”を始動する。本プロジェクトは「学生と向き合おう。いま、本気で。」をスローガンとし、従来型の採用に対する問題を提起したJR山手線広告の掲出を皮切りに始動する。今回は、本プロジェクトの概要と狙い、さらには同社が目指す今後の方向性について代表取締役社長の吉田 崇氏(以下、吉田氏)に聞いた。

採用を起点として日本経済の活性化を目指す

本プロジェクトは、採用を起点として企業の成長と日本経済の活性化を目指すもの。従来の「企業が、学生を選ぶ」採用に対する問題提起を行い、ツールやテクノロジーを活用して採用プロセスを変革した事例を発信することで「学生と向き合う」新たな採用スタイルへの変革を推進。企業と学生がお互いの理解を深めた「真のマッチング」を増やしていく。

2022年11月22日時点における賛同HRサービスは以下の18社である。

賛同HRサービス一覧

  • インタビューメーカー(株式会社スタジアム)
  • exaBase DXアセスメント&ラーニング (株式会社エクサウィザーズ)
  • 適性検査eF-1G (株式会社イー・ファルコン)
  • CUBIC for WEB (株式会社CUBIC)
  • KOREC (株式会社ビーウェル)
  • Compass (株式会社イング)
  • SHaiN (株式会社タレントアンドアセスメント)
  • ジョブトラ (株式会社リアライブ)
  • ダイヤモンド社の適性検査シリーズ(株式会社ダイヤモンド社)
  • TECH OFFER (株式会社テックオーシャン)
  • Track Test (株式会社ギブリー)
  • HireVue・HireVue AIアセスメント (タレンタ株式会社)
  • Parame Recruit (株式会社Parame)
  • harutaka (株式会社ZENKIGEN)
  • ミキワメ (株式会社リーディングマーク)
  • MONOWEB(アール・コンサルティング株式会社)
  • 履修履歴データベース (株式会社履修データセンター)
  • Worksamples (株式会社HRport)

※サービス名50音順

顧客の採用課題をHR企業と連携して解決する

ヒト・モノ・カネの経営資源の中でヒトの重要性が年々高まっている。一方で、学生からは「対等に扱ってほしい」「一人ひとりに興味関心をもってほしい」といった企業の採用活動に対するネガティブな声があがっている。これは、「企業と学生間の理解不足が原因で対等な関係を構築できていないことが一因」(吉田氏)と考えられる。

企業への学生の要望 第1位:「対等に扱ってほしい」

企業への学生の要望 第3位:「一人ひとりに興味関心をもってほしい」

「企業と学生間の適切なマッチングを実現するためには、互いに歩み寄って相互理解を深めることが重要です。そのためには企業側がリードして学生と向き合い、自社のポジティブな面だけでなく実態そのものをオープンに伝えていく姿勢が求められます」(吉田氏)

上記の取り組みを実現することで、学生側は企業が求める人材像と自身の価値観がフィットしているかどうかを正しく判断できるようになる。また、企業側としてもこれまでにない形で学生の意見を取り入れることができる。結果、お互いの理解不足が解消し、より対等な関係を築くことができるようになる。

https://twitter.com/tksyoshida/status/1589030307507818496?s=46&t=GkKVzqJ1OXlNCGH6Y-RDuQ

今後のアクションステップについては以下の通り。

アクションステップ

2022年11月17日 “採用を、変えよう。プロジェクト”がスタート、従来の採用に問題提起したJR山手線広告の掲出
2023年1月下旬まで 採用のベストプラクティスストーリーを順次公開、SNS・各種メディアによる情報発信(#採用を変えよう)
2023年2月(予定) カンファレンス開催

今回の取り組みにおける最も注目すべきポイントは、国内採用市場が抱える課題の解決に向けたメッセージを18社(2022年11月22日時点)のHR企業と共同で発表したことにある。その背景について、吉田氏はこのように語る。

「2022年7月にシリーズBの資金調達を実施した際に、sonar ATS/sonar storeと連携いただいているHRサービス各社様からたくさんのお祝いのコメントをいただきました。その中で、共に採用市場を良くしていきましょうという声がとても嬉しく、気持ちが新たに引き締まりました。そうした経緯もあって、今回、お客様の採用課題を(一社単独ではなく)HR各社様と組んで解決していくという宣言をあらためてさせていただくこととなりました」(吉田氏)

トヨタやソフトバンクなど約1,200社が利用する「sonar ATS」の導入が加速

同社が提供する採用管理ツール「sonar ATS」は、「採用の解像度を上げ、真のマッチングを実現する。」というビジョンのもと、採用のあらゆる課題解決を支援する採用管理システムだ。同社は2012年から「sonar ATS」の提供を開始し、この10年間で約1,200社を超える企業の採用業務を支援してきた。

主な導入企業については以下の通り。

導入企業例

  • 株式会社イーブックイニシアティブジャパン
  • 株式会社サイバーエージェント
  • ディップ株式会社
  • Chatwork株式会社
  • トヨタ自動車株式会社
  • ヤマハ発動機ビズパートナー株式会社
  • 株式会社USEN-NEXT HOLDINGS
  • 株式会社レバレッジ

近年はマイナビやリクルートといった大手からビズリーチのようなメガベンチャー、さらにはHERPなどのスタートアップが採用管理システムを展開しており、競争環境が大幅に激化している。その中で、sonar ATSには「新卒・中途採用を統合して管理できること」「メール・マイページ・LINEなど応募者への連絡を自動化できること」「複雑な採用業務を一目でわかるフロー図で可視化できること」「様々なツールとデータ連携できること」「申込みから運用開始まで専任担当者が丁寧にサポートしてくれること」などの強みを武器に、MRR(月間定期収益)は1億円を突破。2023年末には2,000社への導入を目標として掲げている。

今後の注力領域は30以上のHRサービスを購入できるマーケットプレイス「sonar store」

sonar ATSに加えて、同社の収益を支えるもう一つの柱がある。それが「sonar store」だ。

これは、いわば「HRサービスに特化したマーケットプレイス」であり、sonar ATSと連携する30以上のパートナー企業が展開するサービスを購入することができる。

sonar store

具体的なHRサービスについては以下の通り。

  • ONE CAREER
  • OfferBox
  • TECH OFFER
  • LabBase
  • dodaキャンパス
  • Future Finder
  • Indeed
  • ジョブトライアウト
  • Compass
  • eF-1G
  • CUBIC for WEB
  • 適性検査「DPI・DIST・DBIT」
  • ミキワメ
  • Worksamples
  • harutaka
  • インタビューメーカー
  • HireVue
  • SHaiN
  • LINE公式アカウント
  • 履修履歴データベース
  • Smart HR
  • MOVE LETTER

同社が志向する「採用管理システム」×「HRサービスのマーケットプレイス」という組み合わせは他に類を見ないユニークなコンセプトだ。この点について、吉田氏は以下のように説明する。

「もちろん弊社でも企業の採用課題を解決するサービスのラインナップをさらに充実させていきます。一方で、一つのサービスだけでお客様の多様化するニーズに対応していくことは今後ますます難しくなる。私たちは様々なHR企業様と連携し、各社が展開するサービスと組み合わせることによって、HRサービスを一つのシステムとして利用することができる世界を創っていきたいと考えています」(吉田氏)

ちなみに、他社が提供する採用管理システムは募集から採用までの全ステップを自社提供のサービスで完結させる発想のものが多く、自社サービスの競合となり得るHRサービスとは基本的に連携ができない。一方、sonar ATSは採用管理にのみ特化しているため、あらゆるHRサービスと柔軟に連携することが可能だ。利用企業からすると、採用課題のソリューションへの選択肢が増えるにも関わらず、比較検討や導入に向けたコンタクトの手間を大幅に省くことができるというメリットがある。

採用管理ツールの競争力は“フィロソフィー”で決まる

採用管理ツールはその性質上、開発が進めば機能は似たものになっていく。それゆえ「サービスの優劣は中長期的には目指す世界観で決まる。究極的にはフィロソフィーが最も重要」と吉田氏は語る。

参考:sonar ATSのフィロソフィー

同氏によれば、採用管理システムの方向性としては大きく2つに分けられる。一つは一気通貫型。もう一つはエコシステム型だ。世の中のサービスの多くは一気通貫型を採用しているが、sonar ATSはエコシステム型を志向している。「理想は日本にあるすべての採用サービスと連携すること」と同氏は今後の展望を語る。

「すべては採用担当者の業務負荷を少しでも減らし、企業の採用力を高めるためです。ただ単に便利なツールではなく、人事の仕事を楽しく創造的にアップデートするサービスでありたい。そう私たちは考えています。そのためにも、HRサービス各社様と連携を図り、競争ではなく共創を通じて日本の採用をより良くしていきたいと考えています」(吉田氏)